
2.5 ポートオーソリティの港湾整備財源
ポートオーソリティの権限は、州の憲章あるいは市の憲章で定められており、ワシントン州及びオレゴン州では、ポートオーソリティに課税権を認めている。この港湾税は、港湾行政区の住民が所有する資産に対して一定の割合で賦課されるもので、港湾行政区が一つあるいは複数の郡の範囲と一致するため、郡の資産税の徴収と併せて行われている。税率は、シアトル港では1,000ドル当たり28−29セント、タコマ港では18−19セント、ポートランド港では8−9セントである。1995年の港湾税収入は、シアトル港35百万ドル、タコマ港6百万ドル、ポートランド港7.4百万ドルであり、それぞれ、港湾営業収入に対する割合は、33%、11%、13%となっている。
アメリカ港湾協会(AAPA)が実施した米国主要55港の財務状況の調査によれば、1994年の地域別港湾収支は、表-3の通りである。大西洋岸北部港湾及び五大湖港湾では、営業収益で赤字、その他は黒字を計上している。営業収入に対する減価償却前営業収益では、太平洋岸南部の港湾が57.8%で極めて大きく、収益力の高さを示している。
港湾税による収入はすべての地域で見られるが、ガルフ地域および太平洋岸北部の港湾で多い。州や市からの補助金も多くの地域で見られるが、太平洋岸南部の港湾では、逆に市への納入が行われている。
カリフォルニア州では、市がポートオーソリティから、消防、警察等のサービスに要する経費として港湾部門行政経費を徴収しており、1995年の徴収額は、ロサンジェルス港で33百万ドル、ロングビーチ港で5.2百万ドル、オークランド港で5百万ドルであった。ロサンジェルス港の33百万ドルのうち、20百万ドルは市の一般行政経費に対する負担であり、州の土地委員会から、干潮帯の土地は1911年の州法で市に無償で利用させることとしているが、20百万ドルの徴収はその法律に違背するとして、ボードにその支払いの凍結を求めた。1996年11月現在、まだ決着していない。
また、アメリカ港湾協会が実施した同調査によれば、1991年から1994年の港湾施設整備投資は、55港全体で、年間平均約670百万ドル、1994年のみは、この他243百万ドルの土地取得費を支出した港湾があるので、総投資額は930百万ドルである。投資の57%は太平洋岸南部の港で実施された。
個別の港の年間の港湾施設整備投資額は、オークランド港67百万ドル(1994)、
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